我が家のドライヤー。
俺が18歳で一人暮らしを始めたときから使ってるヤツ。
青くて、小さくて、ボロい旅館とかに行ったら置いてそうな感じのヤツ。
なんだかんだで使用頻度の高い電化製品だけど10年以上、文句も言わず
ブーンと人の髪の毛を乾かしてきた。
でも最近気づいたことがある。
たまに人の家や銭湯なんかで使うヤツと勢いが全然違うことに。
さすがにあいつも年を重ねて来ただけのことはある。
昔はきっとハリツヤもあっただろうが今はもうしわくちゃのおばあちゃんだ。
元々幾らで買ったのかも覚えてないけど、値段相当分は十分働いたと思う。
年も明けたし、自分もまた一つ年を取るし、アイツと出会ってからもまた1年が過ぎるし
買い替えるタイミングにはピッタリだ。と思って昨日街へ出たついでに電気屋へ行った。
でも買うのはやめた。なんかマイナスイオンだとかいろんなモノがセットになっている。
何がいいのやら。値段もそこそこに。
でもよくよく考えると、まだうちのドライヤーは現役だ。全然使える。勢いはないけど。
このまま自分が年を取って、そんなドライヤーの威力にすら気づけないほど耄碌した頃に
ひっそりと役目を終えるのかもしれない。それはそれで良い死に方だと思う。
もうしばらく、息の根がとまるまでアイツと付き合ってみることにした。
死に場所くらい選ばせてあげたい。なんせこの家の中で最も長い付き合いだし。
先日、数ヶ月振りに会った祖母が驚くほど小さくなっていた。
実家に行くと色々感じるものだ。駅前の酒屋は潰れ駐車場になっていた。
昔みんなでエロ本を拾った田んぼも、殆どが住宅地に。
地理的にはそうでも無い筈なのに、ひどく寒かった。
別にノスタルジーになる訳でもなく、ああ、そうだよね、くらいのこと。
自分の生き場所と死に様を考える様になったこの頃。
目標めがけて突っ走るのみじゃい。
ソウルメイトが書いてた
「正解も不正解も全部飲み込んで、これまで以上にやりたいこと以外はやらないでいこうと思う」てのは
妙に頷けた。さすがっす。一人っ子っす。今年もよろしくよ。
明日はパラダイスいくもんね。
いずみ